2007年7月15日

人造象牙のサドル装着

 

台風が来るので家で工作してたという話。

 

ちょっと前にオベーション・セレブリティの弦を張り替えた。どうもそのときサドルの向きを間違えてつけたみたいで、弦高がおかしくなっていた。

直さなくっちゃと思いながらも、こいつの場合面倒なつくりだったので後回しになっていた。

フォークギターによくあるピンで弦を留めるタイプだと、適当なところでカポをはめればヘッド側は弦を張ったままサドルの交換ができる程度に弦をはずすことができる。ところがオベーションはブリッジにある穴に弦を通すので、ヘッド側で完全に弦をはずさないとサドルが取れない。

今回人造象牙のサドル材を入手したのでいっそ交換してみることにした。

 

ivory2.jpg
面倒だなーと思いながらはずしたサドル(注:左右逆のままです)

 

通販で取り寄せた人造象牙のサドルは汎用サイズなので、幅も広いし厚いし高いしだった。またオリジナルはピエゾ素子を取り付けるために下側が特殊な形をしているのでかなり整形しないといけない。

板ヤスリでちまちま削るようなレベルではなかったので、『お座敷ファクトリー』で削ることにした。

ある程度寸法取りした上で細かいところはノギスを当てながら慎重に削った。 削り足りないとサドルの溝に入らないし、ピエゾ素子の金具もつかない。削りすぎるとガタついてビビリ音の原因となる。

 

ivory3.jpg
お座敷ファクトリー(防音ケース入りフライス盤)で切削加工中

 

ノギスは0.01mmまで表示できるデジタル式なのだが、フライス盤の目盛りは0.1mmきざみのダイヤル式のため勘に頼るしかない。0.0数ミリ削っては測り、という具合。

また送りが手動のためまっすぐにしか切れないのが悩みの種だが、それでもほぼ同じ形にできた。ちょっと寸法を間違えて削りすぎてしまったが、やり直しは効かないし、とりあえず支障はないのでこれでいこう。

 

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取り替えた感じではちょっとサスティンが伸びるようになった気がする。オベーションのプリアンプってアンプにつなぐとプリプリした音になるのだが、ちょっと硬めになったようにも思う。

 

実は先日、あるサイトにバズ・フェイトン・チューニングについての解説と、「それを上回る完璧なチューニング方法」が書いてあるのを見つけた。それがきっかけで思い立ったことだった。

 

これらはアコギで通常のチューニングを行った場合に、ポジションによってはピッチが狂うためにコードが濁って聞こえるという問題に対処する方法だ。 バズ・フェイトンは元々そういう設計でギターを作ったうえで、対応チューナーを使い微妙にピッチをずらしたチューニングを行うというもの。このサイトの「MTS」はナットとサドルに微妙な加工を行ったパーツをつけることで、このピッチの狂いをなくすというもの。

エレキギターのように各弦ごとにサドルの位置を調節できるわけではないので、アコギの場合はオクターブピッチなどの狂いは直せない。 理論は難解で、数式や図解があったがなんとなく理解できたかなー、と。しかし何よりサンプルサウンドを聞けばその差は歴然だった。

 

さすがにここまで凝ったことをマネするのはメンドーなので、最初はサドル側で調整してみようと思った。ちなみにオベーションでもアダマスのサドルは各弦ごとに山の位置が変えてある。横棒いっぽーんではないのだ。元々一枚の板でできているセレブリティのサドルではここまでの加工はできない。削りはじめてから考え直して、これはあきらめた。

それでもクラシックギターなど、サドル幅の間で前後に山の位置がずらしてあるものがある。知人に貸している松岡良治のはそうなっていたと思うが手元にないし、同じ位置で調整が有効かどうかはわからないのでまたの機会にゆずるとする。

 

次はナット側の加工を予定している。乞うご期待ってことで。

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