jack: 2008年7月アーカイブ

がぜんノッてきた。今週オクでゲットした Carl Zeiss Jena の Flektgon 2.4/35mm のことである。


今朝早起きしたので散歩がてら近所の家庭菜園(というか農園?)をブラついて、野菜の花とか撮ってきた。野菜を盗ったらまずいけど写真を撮る分にはお咎めなしのはず。

ギラギラ夏の日差しが強いので、NDフィルター代わりにPLフィルターをつけたり取ったり、いろいろやってみたがやはりNDフィルターはあった方がよさげだ。

いまひとつマウントアダプターがガタついてピントが合わせづらいのだが、それでも十分持ち味を確認することができた。やっぱええわ、このレンズ。M42マウントレンズの中でも人気が高いだけある。

絞れば締りのある、それでいてボケが美しい絵になる。発色も文句なし。周辺光量落ちも見られないし、コーティングのはがれとか拭きキズの影響もなさそうだ。最近入手したドイツレンズの中では Pancolar を上回る名玉だと思う。

こうなってくるとマウントアダプターのガタつきが残念だ。ググってみるとレイクオール製が一番精度も高くてよさそうなのだが、今さら買い換えるのも高いし...ということで以前から検討していた「M42のαマウント化」に挑戦した。


基本的に本体の加工はなるべくしないで既存のネジなどを利用する。接着はメンテナンス性が悪くなるのでしない。という方針でずっと考えていたのだが、古いシグマのズームでゴムが腐っていたりAFが動作しないなどの理由で捨てるしかなかったものからマウント部の金具だけを外して使うことにした。

もちろんそのままではフランジバックの差があるので補正しないといけない。1mm未満の厚みになるようマウント金具を削る必要がある。これは卓上フライス盤を使って正確に平行平面になるように削った。最初は失敗して削りすぎたのでやり直すハメに。2本もつぶすのはもったいないけど、元々シグマは使わないしね...

元のネジ穴が4箇所あるのでそのまま皿ねじ用にテーパをつける。真鍮は突然ドリルの歯が食い込むのでなかなか滑らかにならない。テーパドリルは狭くて使えないので往生した。

以前削りすぎた失敗品でレンズ側にある既存のネジを使えないか穴あけしてみたが、バヨネットの爪ギリギリだったりしてテーパをつけられなかったので断念。今回は仕方なくレンズ側のマウント面に新たにタップ穴を開けることにした。

alpha_1.jpg

タップはM2。場所によって内部のパーツに干渉するため、4mmくらいのネジが必要なところもあった。

alpha_2.jpg

ついでにこの間作っておいた赤丸を貼って完成。レンズ外径がちょうどマウント金具と同じぐらいなので最初からαマウントだったかのよう。

alpha_3.jpg

ソニーα100に取り付けるとこんな具合。これで交換も楽になるし、マウントのがたつきもないのでピントリングが固めでも平気。Pancolar もそうだったがこの時期のツァイスレンズはヘリコイドが固めになっているものが多いのだ。

alpha_4.jpg

うーん、やっぱりENNAでは萌えきれない(萌えって?)


機会があるたびに Pancolar の他に ENNA も Lithagon 28mm、Ennalyt 28mm ともに持ち出して撮ってみるようにしていた。画角が違うので単純に比較ができないのだが、どうもいまいちスッキリしない。

何が?といって画面の暗さ。なんかこう暗いのだ。何よりシャッターを切るとき絞るのだが、そのせいももちろんある。が、なんかこう、なのだ。

それがこのあたりのドイツレンズの味わいだ、とか言う人もあるけど、そういうもんかねぇ...と悶々としていたら、またしても Carl Zeiss Jena の Flektgon がオクに出ていたのを発見。

ふつうフレクトゴンというと28mm広角とかよく見かけるのだが、2万から3万で取引されている。ちょっと高い...35mmだともう少し安いのだが、これは絞りが開放固定ということで安めで出ていた。Carl Zeiss Jena DDR / Flektgon 35mm/f2.4、赤MCであった。

え?開放固定?まさか絞り羽根がないとか?出品者はバラシていないので理由は分からないと言う。ちょっと不安はあったが、開放で撮った作例がきれいだったのでまあいいかと入札。なんとか1万未満でゲット。よっしゃー!!


さて現物は...予想以上に荒れ果てていた。ホコリ、汚れ、キズ、なによりヘリコイドを回すと『ジャリジャリ...』って、え゛ー!?

さっそく解体用具を揃えバラシにかかる。マウント側は大きいネジ3本で絞りリングが外れる。小さいネジまで取るとバラバラになって、クリック用のベアリング球が落っこちるので注意。(というか落っことした)

レンズユニットはネジ3本で外れる。目標の絞り機構はこのユニットの中だ。試行錯誤を繰り返し、レンズを外していけば絞り羽根機構部分は取りだせることが分かった。(というかこの時点でどう戻すのか分からなくなっていたのだが)

羽根は全部あった。どうやら中途半端にばらしたせいでうまくリンケージがかみ合わなくなっていた様子。加えて大量の砂粒があっちにもこっちにも入り込んでおり、挟まって動かなくなっていたのだ。

リンケージの仕組みを理解しながら組み上げると、ちゃんと絞りリングに同調して開くようになった。1つだけ機構設計に不可解なところがあり、それでもユニットを組み上げると不思議とどうにかなってくれていたので良しとした。うーん、深い。

ヘリコイドはやはり砂が入り込んでいたのと、アルミ同士が擦れた粉が混ざっているせいだったのでバラして洗浄、グリス塗り直し。このときまたしても印をつけておいたのが消えてしまった。2時間ぐらい何度もヘリコイドをねじ込んでは外し、とやっていたがなんとか元に戻った。

レンズ内に入り込んでいた砂ぼこりは何とか取り去ることができた。その際どうも前玉を傷つけてしまったようで、コーティングにスジが入ってしまった。元々前玉には汚れとかキズとかあったので、まあ諦めるとする。

最後に、フィルター枠のところが落っことしたか歪んでいたのできれいに真円にし、黒染めスプレーで化粧直しをして完成。

flektgon_a100.jpg


結局作業は夜中になってしまったので、野外で撮影するのはまたの機会にするとして、うわさに高い接写性能を見ることにした。最短距離は18cmとなっているが、デジイチの場合はもう少し寄れるようだ。


WENGERの腕時計を撮ってみた。スイスで買ったものだが日本でも売っているみたいだ。(ガックリ)開放だとピントが合っている部分以外はボケボケ。

flektgon_f24.jpg


今度はF8に絞って+1.0補正で。文字盤あたりはくっきりしている。いい感じ。

flektgon_f8p1.jpg


おお~いいぞ。蘇生成功といったところか。しばらくは気に入って使うだろうな...35mmというのがちょっと微妙だけど。

ますます深みにはまっているようだ...いかんと思いながらも入札。


今回ゲットしたのは、以前ゲットしたのと同じ ENNA München の28mm/F3.5。"Ennalyt" という名前がついているが焦点距離とF値は Lithagon と同じである。違うのは最短焦点距離で、Lithagon が35cmに対して Ennalyt は20cm、つまりマクロ的に使えるということ。つか「MACRO」って書いてあるし。

Lithagon はちょっと使いづらかったのでどうしようかと思っている。またそれがあったので、しかも同じ28mm/F3.5ということで Ennalyt は止めておこうかとも思ったのだが、安かったので落としてしまった。

なぜ安いのか? ENNAに関してもあまり情報が少ないので分からなかったのだが、現物が届いて愕然とした。ボディ全体がプラスチック製だった。

写真を見る限りはっきりとは分からないのだが、そう言われればそんな風に見えただろう。とにかくマウント面に一部金属が使われているものの、見事にプラスチック。玩具カメラ用みたいに軽くチープだ。ケースもプラスチック。オリジナルの箱がついているのはデッドストックか?全体的にとてもきれいだ。

Ennalyt_28mm.jpg

よく見ると作りは決して悪くない...もとい。悪い。

第一にヘリコイドがスムーズに回らない。Lithagon もちょっと固めだったが、これも固い。さっそくグリスを柔らかめのものに代えてみたがますますスムーズではなくなった。ちょっと重くなるところがある。

ファインダーを覗いていてその原因が分かった。ヘリコイドがゆがんでいるらしく、ピントを合わせようとリングを回すと視野が移動する。あちゃー...しかもなんとなくぼやーんとした感じが...ああ、中玉にカビがあると書いてたな。

ということで結局分解。Carl Zeiss Jena の Tessar 50mm/F2.8 もそうだったが、前玉周りのカバーは手で回すと外れる。前玉はカニ目リングで外れる。手で回せるほど緩んでいた。後は順にリングを外しレンズを外し、後玉もリングとレンズを順に外せばバラバラに。

各レンズを丁寧にクリーニングし、ブロワで吹きながら組み付け。ライトを当てるとちょっとホコリが見えるもののカビによる曇りはなくなった。

改めてα100ボディに取りつけ、覗き込んでみる。おおー、きれいになったじゃないか。さて Lithagon と比較して...あれ?えらく被写体が近いような...って10cmぐらいしかないんですけど。

マウントが合ってないのか?逆に無限遠が出ていないのではないかという気がしてきたが、とりあえず虫や花を撮るにはちょうどいい気もする。Lithagon よりはピントの山もつかみ易いし、結構いいかも。

ミュンヘンのENNA Werk社はかつてドイツのレンズメーカーとしては中堅どころで、スイスのアルパなどにレンズを供給していたらしい。独特の雰囲気があって割とファンが多いとも聞くけれど、ググってみてもあまり情報が少ない。

今回箱に書いてあった住所でとりあえずこの辺にあったらしいことは分かった。逆にその住所でググると、かつてはフィルムメーカーがあり、今では写真関係のスタジオか何かになっているようだ。

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